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推し簿

油揚げと切り干し大根とスキップとローファー

No.02 | アーティスト・イラストレーター 前田麦

#推し簿とは

「推される」側の人間も、実は一人の「推す」側だったり。人間だもの。カルチャーの中心にいる彼らの今の「推し」を記録する連載企画。
Profile
アーティスト・イラストレーター
前田麦
1974年北海道生まれ。 北海学園大学経済学部卒業。 イラストレーションをベースとして、平面、立体を問わず様々なアプローチで作品を製作。 近年では、リボンを使ったアート、「Ribbonesia(リボネシア)」、スタンプコラージュ 「STAMP BY ME(スタンプ・バイ・ミー)」、紙やすりに描く「TRANSLUCENT」シリーズ、「 EYE OF FIRE」など様々なスタイルで発表している。
アーティスト 前田麦の推しは
実は
色々あるんです!

わたしの創作活動をささえてくれるもの

ごめんなさい。そもそも推しっていう感覚が良くわからなかったんです。説明してもらってわかったんですが。単純に好きってことではないんですね?自己表現につながるほどの好きという感じ?というふうに理解しました。

そう考えると、色々あって。ピンときたのは油揚げと切り干し大根です。もう毎日のゴハンの友として、私の創作活動を支えてくれています。わたしを構成しているといっても過言ではない。

カツ丼はいらないかもしれない

油揚(大豆の加工品で、焼いて良し、煮て良しの万能食材!)は煮物にした時に他の具材の味を染み込ませ攻守一体となって口の中に拡がって行きます。最近では、新潟は栃尾のあぶらげが推しです。その大きさが特徴で外のパリッと中のフワが、まるで厚揚げと油揚げの中間の存在で、初めて食べた時は「こんなんあるのか!」という衝撃を受けました。あと、松山揚げも推しです。こちらは、フワっと口の中で蕩ける繊細な油揚げ。松山揚げ丼なんて、肉入ってないですけど、もうそれだけで完璧ですね。松山丼があれば、カツ丼はいらないかもしれないですよね。(ただしセイコーマットのホットシェフのカツ丼を除く)あとは標茶の「竹田屋」などが推しです。

切り干し大根(その名の通りダイコンを細長く薄く切って乾燥させた乾物)の推しは、収穫時期を雪が降る直前のギリギリまで遅らせることで、甘みをのせてから収穫する鹿追町の「きりぼし大根はえらい」ですね。その甘さから、切り干し大根の王様と呼ばれています(わたしの中で)。

音楽は単純作業のときに聞きます

とはいえ、知りたいことってこういうことじゃないですよね。きっと。創作に刺激をもらっているものとか、そういう話をしますね。先ずは音楽。

作業をするときには音楽は聞かない方なんですが、考える作業を終えて単純作業だけというタイミングになると聞くことがあります。だいたいは往年の90年代テクノミュージックです。アーティストで言うと、ケミカル・ブラザーズとかアンダーワールドとかダフト・パンクとか。好きなんですよね実際。あとは、デリック・メイ、ベースメント・ジャックス、ジェフ・ミルズ、ハードフロア、サージョン、石野卓球、エイフェックス・ツイン、ジャミロクワイとか、この辺りですね。学生時代から聞いている推したちです。

王道系がグッときますねやっぱり

創作にインスピレーションをもらうものといったら、やっぱり漫画とかですかね。最近の推しは、月刊アフタヌーンのスキップとローファーかな。学園恋愛ものなんだけど、主人公やそれぞれのキャラクターの表情とかがとても良くて。王道系がすきなんですよねやっぱり。ジャンプ系ならハイキューとか、呪術廻戦とか、ハンターハンターとか。感情移入しちゃっておじさんはグッとくるんですよ。あと刺激的なのはやっぱりファイブスター物語。あれはいいですよ。

推しって奥が深いですね

推しって、考えたことなかったけれど、考え始めると色々と出てきますね。ただ、自己表現とまで言えるかというと、またそれは違うかもしれない。ただ、自分の創作に影響は与えているので、間接的に自己表現につながっているのかもしれません。最近は、小学校の時好きだった恐竜とか古生代の生き物にまた魅力を感じていて、少しずつ勉強しています。これも推しになりそうですね。

ちょっと、一般的な推しとは違う話しちゃいましたけど、最後に言わせてもらうと、毎日一緒にいて飽きないのはやっぱり油揚げです。以上。

PHOTO:HANAJIMA HITOMI

Movie

VIDEO:NUPEK

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